■左SBの長友はメンバー発表時点で所属なし
久保建英らが選出された8月27日に発表された日本代表のメンバーリストを見ると、東京五輪が思い出される。U―24日本代表が直面したものと同じ課題を、日本代表も抱えているからだ。1チーム2カテゴリーで活動をしてきたから、ある意味で当然でもあるのだが。
左サイドバックである。
東京五輪でこのポジションを務めたのは、中山雄太と旗手怜央だった。守備的な戦略では中山、攻撃的な姿勢を出すなら旗手という大まかな使い分けで、本職ではないふたりを左サイドバックに充てた。
グループリーグの南アフリカ戦で旗手が背後を突かれると、森保一監督は町田浩樹を起用した。彼もまた、スペシャリストではない。特徴がもっとも発揮されるのはセンターバックだ。
東京五輪のチームで、左サイドバックが「穴」になることはなかった。ただ、ストロングポイントでもなかった。
9月2日にオマーンと、7日に中国と対戦する今回の日本代表には、長友佑都が選出されている。経験と実績ではズバ抜けているが、彼は所属クラブが決まっていない。6月11日のセルビア戦を最後に、実戦から遠ざかっているのは大きな不安材料だ。
森保監督は「いまのコンディションも把握して招集につなげている」と話し、「チームに合流してトレーニングをしてから、さらにコンディションを確認して起用につなげていきたい」と説明する。
所属先が決まっていなくても、長友がコンディションを仕上げているのは容易に想像がつく。合流したらすぐに戦力となるための準備は、新たな契約をつかむための条件だからだ。
そうだとしても、実戦から遠ざかっているのは懸念される。試合勘やゲーム体力は、強度の高い試合のなかでこそ磨かれていく。いかに経験豊富な長友でも、最終予選でいきなりプレーさせるのはリスクが大きい。