■後半開始2分でイニエスタが見せた「変化」
この試合の2トップは、ドウグラスと今季ここまでリーグ戦で7度先発しながら無得点の佐々木大樹が組んだ。佐々木は中盤でもプレーする選手である。前線から懸命に守備をし、ボールに触ろうとしたが、うまくプレーに絡めない。チーム全体のリズムも上がらないまま、前半を終えた。
ハーフタイムを挟み、ヴィッセル神戸の陣容が変わった。佐々木大樹と交代でピッチに入ったのは、新しい背番号11。武藤が合流3日目で、いきなりピッチに立ったのだ。
明らかに流れが変わった。その変化にいち早く気づいていたのが、アンドレス・イニエスタである。
前半のイニエスタは、「特別な選手」ではなかった。チームとともに、良いリズムを刻めずにいた。
後半開始から2分後、相手のクリアボールを拾ったイニエスタは、一旦間をつくった後、突然ゴール前へとパスを送った。走り込んでいたのは武藤である。抜群の動き出しから、シュートにまで持ち込んだ。判定はオフサイドだったが、確かにイニエスタの好パスを呼び込んでいた。
武藤がイニエスタのパスを引き出す場面は、その後もあった。武藤の存在により、イニエスタもインスピレーションを与えられたかのように、前半とはまったく違う姿を見せ始めた。