■「三笘薫の評価は……」
―五輪を見ていると、日本代表は強いな、という印象があります。
大住「堂安律と久保建英の力が大きい、やっぱり、あの2人がチームを引っ張っている。それから中盤の遠藤航も良いし」
後藤「守備のボックスがうまくいっている」
大住「準決勝のスペイン戦は冨安健洋が累積警告で出られないからセンターバックで板倉滉が出て、右サイドバックの酒井宏樹が戻ってくる」
後藤「代わりの選手でも戦えるんだから、すごいよね。左サイドバックが手薄か心配していたら、中山雄太と旗手怜央をうまく回して使っているし。かつてのシドニーオリンピックのPK戦の試合は、疲れ切っているのに交代ができなくて、やられちゃったからね。交代枠が残っていても、フィリップ・トルシエ監督が動けなかった」
大住「まあ、あの頃と今の選手層の厚さや期待度は違うからな……中村俊輔がサイドをしていたよね?」
後藤「そうそう、もうヘロヘロになっちゃってさ。いくら俊輔が上手い選手でも、かわいそうなくらいに疲れていたら、さすがに代えてやらないと、と思ってみてたんだけど、それをトルシエは見殺しにしちゃった」
―三笘薫の評価は?
後藤「今大会は調子悪いね」
大住「まだ間合いがつかめていない。それこそ、なでしこジャパンの遠藤純のよう。
とにかく相手との間合いがつかめないんだよね、一度でもつかめれば、ドンドン行けると思うんだけど。16番のジャンニ・ステンスネスに押し倒された場面でも、いつもの三笘なら、もうひとつ速いタイミングで相手の裏へと出しているんだよね。それがさ、1歩持って裏へ、だから相手に寄せられちゃう」
後藤「本人も弱気になっていて、まわりにパスを出していた。君の仕事はそうじゃないでしょ、って。あの時間に出てきたのなら、ダメでも仕掛けて、相手からPKを取ればいいんですよ」
大住「ただ、三笘はボールを晒すタイプのドリブラーだから、失敗するイコール、ボールを取られて相手の攻撃になっちゃうんだよね。相馬勇紀の良い時みたいに、クックッとやって縦にボールを出して、追いついてガンッとやるようなタイプだと、相手はコーナーキックとか、タッチに逃げるしかできない。ボールを晒すタイプだと、取られると相手の攻撃に直結しちゃうから、そういうリスクはある。今だと、左サイドなら……」
後藤「前田大然」
大住「そうだね。前田のほうが良い」