電光石火の連続ゴールで、グループリーグ最大の敵を撃破した。
7月25日に行なわれた東京五輪のグループステージ第2節メキシコ戦で、日本は12分までに2点のリードを奪い、メキシコの反撃を1点に抑えて2対1の勝利をつかんだ。
2連勝で勝点6としたこの一戦を、南アフリカ戦に続いて中村憲剛さんに分析してもらう。サッカー批評Webでは東京五輪の日本代表の全試合を、川崎フロンターレと日本代表で一時代を築いた中村さんの解説でお届けする。
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諸手をあげて2連勝を喜びたいところではありますが、個人的には後半の戦いぶりが少し気になりました。2対0にした後の前半も感じたことですが、3点目を取って試合を終わらせるのか、それとも失点しないことを大前提に、無理をせず相手の出方を伺って戦うのか、そこがチーム全体で少し統一されていなかったのではないかと思いました。
守備では前からいきたい選手とスペースを空けたくない後ろの選手の考えが合っていないかな、という場面がいくつか見られました。もちろん、肉体的な消耗によるズレもあったとは思いますが(2連勝してなおも課題を上げられること自体、贅沢ではありますが)。
僕自身は点差、そして暑さや過密日程による消耗を考え、後半はそこまで前からいかずに、メリハリを持ってプレスをかけたほうが良いのではと考えました。前線から積極的にプレスにいくことは決して悪いことではないのですが、後ろが連動できずに前と後ろが間延びすれば、メキシコクラスになるとその穴を確実につき、ボールを前線へ入れてきます。実際にそういったシーンを作られていました。
ただ、前半の守備の好リズム──林大地を先頭にプレスをかけてボールを奪ってのショートカウンター、もしくは、蹴らせて回収する戦いがうまくいっていただけに、それをやめてセンターサークルのところからブロックを作って守る、という選択は取りにくかったのかもしれません。