■指揮官がピッチに向かって叫んだこと

 奪えなかったのはゴールだけではない。序盤からゲームのリズムを掴むこともできなかった。圧倒的なボール保持を強みとするチームが、ポゼッション率をなかなか高められない。柏がマンマーク気味の守備をしてきたこともあったし、緻密なパスサッカーだけに時に視界不良となる雨の影響もあったかもしれない。鬼木達監督が、ベンチから何度も何度も「丁寧に!」「下で!」と叫んだが、その声は雨に消えてしまったかのようだった。

 後半に入って、ゲームの流れを変える機会は3回あった。1つは、FW宮城天の途中出場だ。長谷川竜也に代わって左ウイングに入った20歳は、積極的なプレーを披露。ドリブルで左サイドを切り裂いて、クロスやシュートを放った。3本のシュートは、そのうち1本がポストを叩き、1本は決定機を迎えるなど得点を感じさせるものだった。

 もう1つは、61分の柏DF上島拓巳の退場だ。上島は、61分に旗手への激しいタックルでこの日2枚目の警告を受けた。これによって柏は1人少ない状態に。残りの29分を川崎は数的優位で戦うこととなり、この間、猛攻を仕掛けた。ブルーのユニフォームの圧力に、柏はスタート時の3バックを4バックに変え、さらに66分から選手交代をして3バックに戻すなど、守備の形を相次いで変更。ホームチームを追い詰めた。

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