◼︎エリクセンへのメッセージの掲示よりも優先したのは…

 この日の試合では、ユンカーはロングボールを収めて抜け出すなど、3度のチャンスを演出した。そのうち、1度目は相手のCKからカウンターに転じ、ユンカーは相手GKと対峙するものの、フリーだった逆サイドのMF小泉佳穂にラストパスを出し、小泉の移籍後初ゴールをアシストした。2度目のチャンスは相手DFの強度の高い守備に阻まれたが、3度目の決定機で相手GKと1:1になった際には、意表を突くループシュートでネットを揺らし、エリクセンへのメッセージを堂々と掲げた。

 「強く生きろ」という同胞へのエールを事前に準備しながらも、1点目の場面では小泉に預けた。自らシュートを打つこともできたシーンだが、パスを選択したことについて問われたユンカーは、「GKとの2対1という場面で、(小泉)佳穂の方がより良いポジションにいたので、99%パスを出したほうが良いという判断だった。そのほうがより簡単に点が取れるからです。明らかにパスを出した方が良い場面だった」と、チームの勝利を優先したことを明かした。

 11日に発表されたばかりの5月度のJリーグ月間MVPにも選出されたユンカー。5月初旬にチームに合流したばかりだが、カップ戦も含めればここまですでに9得点と、目まぐるしい活躍でチームを上昇へと導いている。MVP選出時には、「日本でプレーした最初の一か月でこのような賞をいただくことができ、とてもうれしく、誇りに思います。これが今後数か月の更なる発展の序章に過ぎないことを願っています」とコメントし、更なる躍進を期待させる。

 故郷の同胞やチームメイトを思う、強くも心優しきストライカー。そんなユンカーのメッセージが、海を超えてエリクセンに届くことを願ってやまない。

 

■試合結果

浦和レッズ 2-2 ヴィッセル神戸

(2戦合計:4-3)

 

■得点者

16分 小泉佳穂(浦和レッズ)

22分 ドウグラス(ヴィッセル神戸)

45+3分  キャスパー・ユンカー(浦和レッズ)

77分  アンドレス・イニエスタ(神戸)

  1. 1
  2. 2
  3. 3