前回の記事では、金の切れ目が縁の切れ目となるパターンを紹介した。このオフでの他の監督交代には、別の切れ目も見える。「心」の問題である。
■衝撃を与えたジダンの公開書簡
レアル・マドリードは今季、無冠に終わった。そして、ジネディーヌ・ジダン監督が去った。
勝利が義務づけられたクラブでは、致し方ないことだったのかもしれない。だが、ショッキングだったのは、その後だ。
ジダンは退任の数日後、地元紙『アス』に惜別のメッセージを公開。その中で、クラブからの信頼とサポートを感じられなかったことで、退団を決意したと語ったのだ。
「このクラブが、私が必要とする信用をもはや与えてくれないと感じるから、私は去る。中長期にわたって何かを築き上げるためのサポートを、私に提示してはくれないのだ」
「私はフットボールというものを理解しているし、マドリーのようなクラブが要求するものも分かっている。勝つことができなければ、出ていかなければならない。だが、とても大事なことが忘れられている。日々私が築き上げてきたものが忘れ去られている」
クラブもメディアを通して反論したが、ジダンの声に勝るものではない。
多くのクラブが、「自分たちのグアルディオラ」を欲している。ジョゼップ・グアルディオラの下でタイトルを総なめにした、近年では最強のバルセロナを夢見ているのだ。チェルシーはフランク・ランパード、ユベントスはアンドレア・ピルロといったOB選手に指揮権を託しては、失意を味わった。単に成功をもたらすだけでも簡単なことではないのに、独自のサッカーを創造するグアルディオラのような指揮官が、そうそう存在するはずもない。