■バイエルンの逆ギレと手のひら返し

 そういった点で、一線を画しているのがドイツのクラブだ。驚くべきことに、ブンデスリーガでは上位3クラブが来季を新しい監督とともに戦うことになる。

 バイエルン・ミュンヘンを昨季のチャンピオンズリーグ優勝に導いたハンス=ディーター・フリック監督は、シーズン途中に今季限りの退任を公言した。寝耳に水のクラブは怒りを表明したが、2週間も経たないうちに、ユリアン・ナーゲルスマンの来季監督就任を発表した。最終的に勝ち点13差をつけた2位のライプツィヒからの引き抜きである。

 バイエルンに、OB監督との栄光などという幻想などない。ユルゲン・クリンスマンというOB選手の例はあるが、クラブのレジェンドクラスがチームを率いたのは、フランツ・ベッケンバウアーが最後だ。

 一方で、クラブ幹部はOBが占める。ピッチには有能な指導者を引っ張ってくるが、あくまで幹となるのはバイエルン派であるということだ。フリック監督の退任は、ディレクターを務めるサハン・ハリサミジッチとの確執があったとされるが、幹を生き残らせて枝を切るというクラブの方針にブレはなかったというわけだ。ナーゲルスマンは以前から目をつけていた青年監督でもあり、計画が前倒しになっただけとも言える。海千山千がそろうバイエルンで成功を収めるのに、時期尚早であるかどうかは、また別の話として…。

PHOTO GALLERY ■【一覧表】ヨーロッパの主要クラブの監督交代と、世界トップクラスの監督の年俸■
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