■合理性のライプツィヒとドルトムント

 2位のライプツィヒについても同じことが言える。近年の躍進の立役者が引き抜かれたが、同じ「レッドブル」系列であるザルツブルクから、ジェシー・マーシュ監督を迎えた。レッドブル系のチームづくりに注目すべきものがあることは確かで、ドルトムントも流れに乗った。ザルツブルクをヨーロッパリーグ4強、続いてボルシア・メンヘングラードバッハをクラブ史上初のCLベスト16へ導いたマルコ・ローゼ監督を来季新指揮官として迎えることを、シーズンを折り返したばかりの2月には発表していたのだ。ユルゲン・クロップトーマス・トゥヘルと、「旬」を逃さない目利きができることは、これまでにも証明している。こうした合理性があるからこそ、リーグで上位につけていられるのだろう。

 このように、ドイツ勢は論理的に来シーズンのヨーロッパでの戦いも見据えているはずだ。上位に監督交代のなかったイングランド勢は、引き続き主要な地位を占めるだろう。監督交代にラテン色が見えたレアル・マドリードは再びカルロ・アンチェロッティにチームを託したが、「第2次政権」が必ずしも成功の再現を約束しないことは、チェルシーでのジョゼ・モウリーニョのケースで証明済だ。

 そのレアル・マドリードとバルセロナを抑えたアトレチコ・マドリードが、ディエゴ・シメオネ監督に世界最高額とされる年俸を支払うのは、やはり意味があることなのかもしれない。資金力がものを言う現在のサッカー界で、イタリアの復権はまだ早すぎるか。

 選手の移籍の前に、まず巻き起こった監督交代の嵐。その先には、来季のヨーロッパの勢力図が透けて見えてくる。

PHOTO GALLERY ■【一覧表】ヨーロッパの主要クラブの監督交代と、世界トップクラスの監督の年俸■
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