■J2京都への悔しさが表れた咆哮
とはいえ、相手は鹿島。ハーフタイムで修正することも考えられた。実際、キャプテンマークを巻いてスターティングメンバーに名を連ねたMFレオ・シルバが前半だけで交代。後半アタマから三竿健斗が入った。レオ・シルバに、目に見える範囲での負傷が感じられなかったことから、戦い方を変えてくることが予想された。
それでも、柏の攻撃が鹿島の修正を上回った。鹿島のボールを狙い定めて奪い切ると、カウンターを発動。次々と鹿島ゴールに攻めかかった。また、クリスティアーノのサイドチェンジも有効で、背番号9が蹴った左への長いボールは幾度もチャンスを作った。鹿島は人を密集させて柏の選手の“自由”を奪おうとしたが、それを逆に利用してみせたのだ。
そして歓喜の瞬間は、このブラジル人によってもたらされた。53分、戸嶋祥郎のスルーパスをうまく受けて裏に抜け出すと、そのままゴール前まで進入。右斜め45度から豪快に右足を振り抜き、強烈にネットに突き刺したのだ。J2京都を相手に1対1を外したことで、下克上を許してしまった責任感もあったかもしれない。だからこそ、この先制ゴール直後に見せた咆哮はすさまじかった。
さらに、鹿島の反撃も許さない。先制点からわずか4分後には、FWペドロ・ハウルが追加点を奪ったのだ。鹿島を相手に2点差。追いつこうとするアウェイチームの気持ちを弱めるのに十分なタイミングの一撃だった。