■名古屋戦以降に変わった中盤の序列

 名古屋グランパスとの首位攻防2連戦以降、鬼木監督が最も多くチョイスした中盤の先発メンバーは「ジョアン・シミッチ、田中碧、旗手怜央」の組み合わせだ。その数、5試合。次いで、「ジョアン・シミッチ、田中碧、脇坂泰斗」が2試合。他に、「田中、脇坂、旗手」と「シミッチ、小塚和季、旗手」が1試合ずつだ。脇坂は4月18日の広島戦以降、出場機会を旗手に譲る機会が多く、中盤で4番手になりつつある。

 横浜FC戦では、田中と旗手が代表に招集され、1番手のシミッチと4番手の脇坂が順当に先発。問題は「5番手」は誰なのかだった。指揮官のチョイスは橘田健人。J1大分から獲得した小塚和季でもJ2松本から獲得した塚川孝輝でもなく、大卒ルーキーを選択したのだ。

 横浜FC戦の結果も含め、橘田は12試合に出場してそのプレー時間は324分。塚川は13試合出場で250分。小塚は4試合で66分しか出ていない。小塚は5月16日の札幌戦で先発したものの、前半だけで交代。横浜FC戦でも公式記録では1分間の出場になっている。

 その札幌戦をサンプルにすれば、小塚が川崎の中盤らしからぬ姿は、パスを出したあとの“もう一度パスを受けようとする位置”が要因と考えられる。一つ前で受け取れるかどうか。そこを前進できなかったことで、センターバックと重なる場面が散見された。小塚は技術的には高いものを持っているが、川崎の戦術の中でそれを発揮できるかは別ということだ。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4