■オーバーヘッドが得意な202センチ
たとえば背が高くてヘディングが強ければ、単に「ヘディングが得意」とか、「打点の高いヘディングでたびたびゴールを陥れる」と書けばいい。実際のところ、背は高いのにヘディングが苦手な選手もいる。
2006年ワールドカップ(ドイツ大会)に出場したイングランド代表に、ピーター・クラウチというストライカーがいた。身長202センチ。まさに「塔」である。だが若いころのクラウチはヘディングが得意ではなく、むしろオーバーヘッドキックのようなアクロバチックなプレーを得意にしていたという。
1999年にFIFAワールドユース選手権(現在のFIFA U-20ワールドカップ)に出場、1次リーグ最終戦の日本戦にも、日本が2-0とリードした後の後半7分から交代出場した。「でかいやつが出てきたな」という印象はあったものの、辻本茂輝、手島和希、中田浩二で組んだ日本の「フラットスリー」を脅かすには至らなかった。アディショナルタイムにはいってヘディングシュートを1本放ったが、南雄太が安定したセービングで弾き出した。
その一方で、背は高くなくても圧倒的なヘディングの力をもった選手もいる。私の身近では、『サッカー・マガジン』の編集長を長く務めた故・千野圭一さんがそうだった。千野さんは身長は私とさして変わらなかったが、ジャンプ力があり、ヘディングは非常に強かった。