■現役ラストを締めたメキシコでの学び
イタリアを去ったグアルディオラが、次に向かったのはカタールだった。今でこそ、カタールやアメリカ、日本、中国といったリーグをキャリア終盤に選ぶ選手は少なくないが、当時としては先鋭的な考え方だった。
カタールで2年プレーした後、グアルディオラはスペインに戻り指導者養成スクールに通い始める。監督を目指して、本格的に動いていた。しかし、そこでの新たな「出会い」がグアルディオラの人生に影響を及ぼす。その時の講師の一人だったフアンマ・リージョから、メキシコに来ないかと誘いを受けたのだ。
結果的にメキシコのドラードス・デ・シナオラが、グアルディオラの選手としての最後のクラブになった。すでに、グアルディオラの”思考”は監督モードに切り替わりつつあった。「リージョがいたから、メキシコに行った。リージョの練習の方法論に興味があったんだ。どうやってディフェンスのトレーニングをするのか、選手たちのプレータイムのマネジメントはどうしているか…。リージョから学んだことは大きかった」と、グアルディオラがのちに明かしている。
各国のリーグ戦でプレーして、知見を深めた。ポゼッションだけでは勝てない。それがグアルディオラのたどり着いた結論だった。