■後半のアタマが試合の分岐点に
試合全体を眺めれば、後半のアタマが分岐点だったことになる。マリノスは同じく強いプレスをかける戦い方だったが、鹿島はマリノスのその戦い方を逆手に取った。後半開始から徹底的に裏を狙う戦い方に徹した。マリノスはその都度ピンチを迎えた。そして、失点はすべて裏を狙った攻撃から喫したのだ。
土居聖真が後半開始30秒で奪ったゴールは、白崎凌兵がボールを持つやマリノスのディフェンダーがボールを奪いにいく。その裏にできたスペースを土居が利用したものだ。土居のPK弾も、土居が出した裏へのスルーパスに松村優太が走り込んだところを、ティーラトンが倒してしまった。荒木遼太郎の得点も、その前にレオ・シルバがマリノスの左サイドの裏を突いたことが起点となっている。上田綺世の得点も、直接的には高丘陽平のトラップミスだが、そのボールはファン・アラーノが裏を狙って上田に出したものだった。
マリノスがボールホルダーに強くいくことを鹿島は逆手に取って、できたスペースにボールを出される、あるいは、スペースに選手をおびき寄せられてチャンスを作られた。アタッキングサッカーを標ぼうして3ゴール決めても、5失点しては勝てるはずもなかった。
カシマスタジアムで沈没したことで、高丘は「もう過去は変えられません。自分なりに反省して、この敗戦から学んでどう立ち直っていくか」と言葉を振り絞ったが、マリノスはその攻略法をさらけ出されてしまい、実は、難しい選択を迫られている。