【明治安田J1リーグ 第13節 横浜F・マリノスvsヴィッセル神戸 2021年5月9日 13:03キックオフ】
「黛也、どうした!」
神戸のゴールキーパー、前川黛也にそう呼びかけたのは、おそらく酒井高徳だった。
前半、時間を追うごとにマリノスは神戸のプレス強度に慣れ、一方的な時間帯が続くようになった。攻撃を凌ぐだけの時間が長くなっていった中で、なるべくゴールから遠いところでプレーをしてもらいたくなったのだろう。前川はロングボールで前線に託すことを選ぶようになっていった。
先の掛け声が飛んだのはその時だ。
この試合でマルコス・ジュニオールがアクシデントでピッチを去ったものの、急遽投入された天野純が大活躍を見せたように、今のマリノスは誰が出てきても、そしてどんな状況でも、自分たちのスタイルを貫き通している。
好調同士の対戦となったこの試合で差になっていたのはその部分だった。試合開始直後こそ勢いよくプレスをかけた神戸だったが、マリノスに適応されて一度ペースを握られてからはビルドアップをしようにも焦りからミスが出てしまうようになり、いつしか耐えるばかりになっていた。