■大宮は期限とノルマを設定

 大宮は10節終了時点で、公式サイトに声明を掲載した。「7月の中断期間を迎えるまでが最大の正念場と捉え、シーズンの折り返しを迎える時点で『J1昇格』を狙えるポジションを目ざす」としている。J3降格圏で喘ぐ岩瀬健監督に、期限とノルマを設定したわけだ。

「中断期間を迎えるまで」とは、7月18日の第23節までを指す。「J1昇格を狙えるポジション」は、過去の昇格チームが参考になるだろう。23節終了時点で、どれぐらいの勝点を稼いでいるのかを調べてみる。

 昨年のJ2を制した徳島ヴォルティスは、勝点47だった。2位でフィニッシュしたアビスパ福岡は勝点43である。

 19年のJ2王者・柏レイソルは、勝点43だった。2位で昇格した横浜FCは35で、順位は8位だった。

 18年のJ2でJ1昇格の切符をつかんだ松本は勝点41、大分トリニータは勝点40だった。17年以降までさかのぼっても、勝点40がひとつの目安と言えそうだ。

 11節終了時点の大宮は、2勝3分6敗で勝点9に止まっている。23節までの12試合で勝点40へ到達するには、10勝1分1敗の成績が必要になる。9勝3分では勝点39で、勝点40に届かない。いずれにせよ、現在のチーム状況では考えにくいペースで、勝点を稼いでいかなければならない。

 3連敗で迎えた11節の東京ヴェルディ戦は、58分に小野雅史のゴールで先制した。ところが、わずか3分後に同点に持ち込まれてしまった。

 9節のジュビロ磐田戦でも、7分に先制して11分に追いつかれ、71分に再びリードしても76分と81分に被弾した。同じような展開で白星を逃すのは、勝ち切れないチームの典型的なパターンと言える。警戒していることでやられてしまうから、勝利から遠ざかってしまうのだ。

 ただ、リモートマッチで開催された東京V戦では、1対1に追いつかれあとに反発した。最終盤はロングスローやCKを生かし、相手ゴール前に殺到する場面も作った。勝利に飢える思いを、はっきりと感じさせた。力は出し切っていた。試合内容は悪くないものの、終わってみれば勝てていない、という物足りなさは、この試合については感じさせなかったと言っていい。

 東京V戦は1対1のまま終了し、大宮は連敗を「3」で止めた。これで6試合勝利から遠ざかっており、首位の新潟とは勝点「20」もの差がある。

 中3日で迎える次節は、その新潟とのホームゲームだ。首位チームの不敗記録を止めることができれば、局面を変えるきっかけになるだろう。逆にこの試合を落とすと、勝点40のノルマをクリアするには、もはや1敗もできなくなってしまう。新潟戦は今シーズンを左右する一戦となる。

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