■「おかえりアンドレス!!」と書かれた横断幕
復帰戦でいきなりスーパープレーを連発する、ということはないだろうが、イニエスタが出れば局面を変えるプレーを披露することはたやすい。三浦監督の広島に対する心理戦の可能性もあった。さらに、イニエスタが自身のSNSで“準備万端”と更新するなど、広島に対して“見えない圧”をかけていた。スターティングメンバーとベンチ入りメンバーが発表されたことで、イニエスタの途中出場が濃厚であることが分かった。
そのイニエスタがピッチに実際に立ったのは15分だけ。最初から決められていた出場時間だったかもしれない。また、試合の趨勢が決まった段階での出場だったことでプレーのインテンシティが求められていなかったこともあって、イニエスタのボールタッチ回数はかなり少なかった。それでも、落ち着いたプレーぶりで健在であることを示した。
そもそも広島は、無観客試合にうまく入れなかった。広島は、川崎相手にアウェイで1-1の死闘を繰り広げるなど、組織力を武器にして戦うチームだ。屋根のあるノエビアスタジアムで無観客開催ということで、どうしても気持ちを集中できずフワっと入ってしまった印象を与えた。
逆に神戸は、イニエスタの復帰戦ということもあって、注目度がとても高く選手たちの集中力も高まっていたように感じられた。誰もいないスタンドに、「おかえりアンドレス!!」と書かれた横断幕が張られるなど、逆にプレッシャーすらあったかもしれない。