■鎌田なら実現できる日本代表の新たな可能性

 3月に行われた日本代表での試合でも鎌田は好パフォーマンスを発揮していたが、最近のフランクフルトでのプレーを見ていると、鎌田の成長が日本代表にとって新しいオプションが加えてくれそうに思える。

 日本代表は韓国戦では3得点、モンゴル戦ではなんと14得点を叩きだしたが、攻撃の軸になっているのは相変わらず大迫勇也である。

 大迫自身はブレーメンでは依然としてあまり出場時間が与えられておらず、必ずしも万全のコンディションというわけではなさそうだ。だが、日本代表では大迫は欠かせない存在なのだ。前線でしっかりとボールを収めることができる唯一の存在だからだ。浅野拓磨にしても、鈴木武蔵にしても、日本代表のFW登録の選手はほとんどがいわゆる“裏抜け”タイプの選手。Uー24代表に目を転じても、“裏抜け”タイプは何人か候補がいるが、前線でボールを収めて起点を作れる選手と言えば、上田綺世くらいしか思い浮かばない。

 前線でボールが収まる選手がいないのは、今に限ったことではない。

 2010年の南アフリカ・ワールドカップの時も、前線でボールを収められるFWが不在だったため、岡田武史監督はボールが収められる唯一の選手だった本田圭佑をワントップで起用したのだ。

 そういう意味で、カタール・ワールドカップを目指す日本代表の攻撃も、やはり大迫に懸かっているのだ。

 しかし、もし鎌田がフランクフルトでのようなプレーをしてくれるのであれば、トップ下の鎌田にパスを通せば、そこでタメを作って攻撃を組み立てることができるはずだ。そして、鎌田の前に裏抜けタイプのFWを置けば、ちょうどフランクフルトでヨヴィッチやアンドレ・シウヴァのように鎌田からのパスによって数多くのチャンスを生み出すことができる。あるいは、鎌田と南野拓実を“偽のツートップ”として最前線において、互いに前後に出入りして生かし合うこともできるはずだ。

 大迫が健在である時でも、大迫のワントップでなく、鎌田のトップ下を生かした裏抜けタイプを生かす攻撃も使えるようになれば、日本代表の攻撃パターンを多様化することができる。

 今や、フランクフルトの攻撃陣では欠かせない駒となった鎌田大地。このまま、残り3試合を勝ち切ってチャンピオンズリーグ出場権を手に入れて、来シーズンはさらに高いレベルの試合を経験して成長していってほしいものである。

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