■サンフレッチェ広島はコスパが最強?
サッカーのルールをつかさどる国際サッカー評議会(IFAB)は、何年か前から「実質60分間」の検討をしている。90分のゲームと言っても、実質的にプレーが動いている時間(アクチャル・プレーイングタイム)は50分から60分間に過ぎないからだ。
Jリーグはこの時間を延ばそうと、実際にどうなっているのか、2012年から2017年まで全試合のデータを発表した。その「最新」のデータ、2017年の発表によれば、J1の18クラブ中「アクチャル・プレーイングタイム」が最長だったのはサンフレッチェ広島で全34試合平均が58分27秒。最短はアルビレックス新潟の51分12秒。試合ごとを見ると、「広島×神戸」が68分21秒、「新潟×磐田」はなんと40分05秒だった。
IFABの試案は、アクチュアルタイムが30分になるまで、それぞれのハーフを行うというものだった。「広島×神戸」は前後半合わせて80分ぐらいで試合が終わってしまう。一方、「新潟×磐田」だと、135分近くプレーしないと試合が終わらないことになる。どんな試合でも、プレーが動いている時間をしっかりファンに楽しんでもらおうというIFABの考えは理解できるが、現在の世界のサッカーに隠然たる力をもつテレビ側が到底了承しないだろうと、私は想像している。
「なぜ90分間なのか」という問いに対し、明確な説明ができなかったことを、読者にお詫びしたい。だがルール化された1897年から、サッカーはもう124年間も「90分間」のゲームなのである。
そして世界の何億人というサッカー選手、コーチたち、そしてファンには、15分間区切りで「点線」が引かれた「45分ハーフ」の「体内時計」がセットされてしまっているのである。