■サッカーチームの息の長さは15分?
「コーチの視点から言えば、UEFAチャンピオンズリーグのカギを握る要素は、試合の最後の10分から15分間にある」
そう語ったのは、22シーズンにわたってアーセナルを率いたアーセン・ベンゲルである。そういえば、試合直前のミーティングを、コーチたちは必ずと言っていいほど「最初の15分間に集中しよう」という言葉で締めくくる。ハーフタイムは15分間である。そしてテレビ放送では、後半30分を回ると「いよいよ終盤です」と、コメンテーターたちは視聴者たちに向かって「おもしろいのはこれからだよ」とばかりに声を張り上げる。
どんなに一方的に見える展開でも、試合には必ず台風の風のように「息」がある。しばらく猛攻が続くと、それがとだえ、押されていたチームがなんとかボールを持ち上がって攻撃を仕掛ける。しかしそれもしばらくしたらやみ、再び最初に攻め込んでいたチームが元気よくパスをつないで猛攻をかけるのである。その「息」の長さは、15分間程度であることが多いのではないか。
15分間攻めて15分間休み、また15分間攻めて前半が終了する。そして後半も15分間攻めて15分間休み、最後の15分間はそれまでのスコア次第……。こうみると、サッカーを「45分間ずつの前後半」とするより、「15分間」のセットを前後半で3回ずつ繰り返すゲームととらえたほうがいいのかもしれない。