■特に江坂が強く印象に残った
韓国戦の遠藤は、ラレア氏にはまぶしく映っていた。
「ボールを後ろから前に届ける重要な役割を担いつつ、ボールをチームが失って攻撃から守備へ切り替える際のスピードも抜群に速く、いなければならない位置を素早く認識してスペースを消すこともできていました。ボールを奪わなければならない時には、確実に体をぶつけて奪うこともできます。チームに安定をもたらすという意味で、素晴らしく存在感があったし、とても重要な選手だと思います」
韓国戦では、前半のうちに2点をリードした。後半に6人が交代出場することになるが、最初にピッチを退いたのは、追加目を決めていた鎌田大地だった。ラレア氏が強い印象を受けたのが、鎌田と交代で後半開始からピッチに立った選手だった。日本代表初選出だった江坂任だ。
「後半、ゲームは少し落ち着いている状態でした。その状況でも、江坂選手は自分が持っているクオリティを発揮しようという意欲を見せていました。実際に表現された彼のクオリティは、あのゲームの中でもとても良いものだったと思います。トップ下からサイド、ウィングのポジションへと出たり入ったりしつつ、ゴール前では決定的なパスを出していました。彼の日本代表に懸ける気持ちは伝わってきましたし、それにふさわしいクオリティを韓国戦では発揮できたと思います」
前述のとおり、勝利を決定づけたのは終盤の遠藤のゴールだった。そのヘディングを導いたのが、ファーサイドへ正確にCKを送り込んだ江坂の右足だった。
Alex Larrea
スペイン、サンセバスチャン出身.元スペインサッカー協会会長の父、U-21スペイン代表で現在レアル・ソシエダ育成部長の兄など、エリートぞろいのサッカー一家で育つ。自身もカナダでプロとしてプレーした後、一度は会社員となるも、再び指導者としてサッカーの世界へ。ヨーロッパ最高位の指導資格であるUEFAプロライセンスを取得し、現在は日本でDV7サッカーアカデミーのディレクターコーチを務める。