■自分の結果よりもチームの勝利

 そんなリカルド監督の思惑もあったのだろう。開幕戦から杉本は1トップのポジションを務め続けた。しかし、鹿島戦で1トップに抜擢されたFW武藤雄樹が今シーズン初スタメンを飾ると、鹿島戦で多くのチャンスを演出し、杉本は2試合連続でそのポジションを武藤に明け渡すことになってしまった。

 杉本にとって、今節のゴールは喉から手が出るほど欲しかった結果にちがいない。以前から本人も意識していた、“流れからのゴール”を決めることができた。途中出場での得点について、杉本は「武藤くんもすごく調子がいいなかで、僕も(開幕から)ずっと試合には出てたけど、なかなか点が取れていなかった。途中からだったけれど、ゴールを決めたいと思っていたので、よかったです」と、笑みがこぼれた。

 実は、杉本にとっては、これがJ1通算50ゴール目となった。C大阪時代の2011年に決めたプロ初ゴールからおよそ10年での記録達成。通算50ゴールについて問われると、「さっきの(フラッシュ)インタビューで自分も初めて知ったので、全然意識してなかったんですけれど」と少し照れ笑いしながらも、「チームが勝てたのが一番。途中からですけどチームを助けられて良かった。(50ゴールは)ただの通過点で、これを続けていくことが大事」と、気を引き締めた。

 杉本は「自分が点を取らなくても、チームが勝てていればいいんですけれど」と前置きしたうえで、「自分がチームを勝たせたいという思いがあって、それがなかなかできずに歯がゆさを感じていた」と、本音を打ち明けた。

 FWが結果を出せば、チームにも弾みがつく。ゴール後には、リカルド監督からも熱い抱擁で祝福され、起用し続けてくれた監督への恩返しができたようだ。また、先制点を決めたDF岩波拓也も、「健勇君の得点はチームにとって凄く嬉しいこと」と振り返る。杉本の活躍は、チームにとっても待ちわびたものだった。

 今月1日には、去年、ノルウェーリーグ1部で27得点をマークした、デンマーク人のFWキャスパー・ユンカーの加入も発表された。エースの興梠は復帰を果たし、杉本も結果を出し、武藤も調子を上げてきている。FWに誰を起用するか、リカルド監督にとっては“贅沢な悩み”になりそうだ。

 

■試合結果

清水エスパルス 0ー2 浦和レッズ

■得点

40分 岩波拓也(浦和レッズ)

90分 杉本健勇(浦和レッズ)

 

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