■自身が漲っていた田中碧
アルゼンチンとの第2戦でフル出場した田中は、中4日の大分戦ではさすがにベンチスタートだったが、72分にA代表帰りで先発した脇坂に代わって登場した。今後の連戦に向けて(とくに上位争いの直接対決となる次節のサガン鳥栖戦に向けて)、鬼木監督としては田中にもある程度の時間プレーさせて、川崎でのプレーの感覚を思い出させたかったのだろう。つまり、“慣らし運転”というわけである。
ただ、交代出場した時にはすでに三笘の2点目が決まって2対0となっており、勝敗の行方はすでに決まっていた。そんな状況で登場した田中は、まさに余裕のプレー。全力の70%とか80%程度のプレーで、大きな見せ場はなかった。
しかし、そんな中でも前線の選手の足元に付けるボールの正確性やパススピードはさすがのものだったし、77分にはプレッシングをかけて奪ったボールをワンタッチで外の家長に開いて決定機を作ったし、要所々々でのプレッシングのかけ方も見事だった。
そもそも、交代直後から飛ばしすぎることなく、70~80%で抑えてプレーして、ゲームの流れを考えながら要所々々でパワーを使うあたりの状況判断や落ち着きは、すでに若手選手の域を超えて、チームの中心としての自信が漲っているように見えた。