■ゴールへの貪欲が増した三笘薫

 Uー24代表で思ったようなプレーができなかった三笘からは、“余裕”よりも“貪欲さ”を感じた。

 アルゼンチンとの第1戦で見せ場を作れなかったのは、三笘個人の責任ではなく、チーム全体の問題だった。

 チームとして機能していなかったから、せっかく奪ったボールもすぐに前線に送れず、後方でパスを回しているうちにアルゼンチンのプレッシャーを受け、その分、重心が下がってしまったため、ボランチから前線へのパスのタイミングが遅れ、また精度も落ちてしまった。従って、三笘のところにようやくボールが回って来た時にはアルゼンチンの守備陣はすでに陣形を整えた後で、そこに孤立した状態でドリブルを仕掛けても、そう簡単に抜けるはずもない。

 本人の責任だけではないのだが、第2戦で日本が良いプレーを見せて勝利したこともあって、三笘自身は「Uー24代表で生き残って東京オリンピックに出場するためには結果を出し続けなければならない」という危機感を抱いたことだろう。大分戦での三笘は、いつも以上にゴールに対して貪欲だった。

 そして、それを実際に結果に結びつけてしまったところが三笘の強さだった。FKからのこぼれ球が浮いたところを、上から叩くようなボレーキックでバウンドさせてゴールにねじ込んで先制ゴールを決め、そして、後半にはプレッシャーで奪ったボールが前線のレアンドロ・ダミアンの前に転がったにもかかわらず、三笘は自らL・ダミアンの前に体を入れるようにして自分でシュートを蹴り込んだのだった。

「結果を出したい」という、三笘の気持ちが生んだ2得点だった。

※第3回に続く

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