■「この日に監督に勝利を届けたい」という思い
実は、4月3日は、リカルド監督の47歳の誕生日だったのだ。
カップ戦も含めた直近4試合では勝利なしという状況で、監督の誕生日のこの日は、どうしても負けられないという思いが強かったはずだ。選手たちにはリカルド監督に勝利を届けたいという思いが共通してあったという。試合後、スタジアムで行われたヒーローインタビューで、先発した武田は「監督の誕生日を勝って祝おうと、みんなで話し合っていた」とコメント。
さらに、ゴールを決めた明本も、「槙野くんを中心に、今日はしっかり勝って監督に勝利を届けようとみんなで話していました」と明かし、この日キャプテンを務めた槙野が働きかけて、選手全員がリカルド監督の誕生日を祝おうと奮闘した。
以前、槙野は今シーズンの沖縄キャンプ中に、こんなことを話していた。
リカルド監督の人柄について聞かれ、「監督という立場だが、ものすごく選手とコミュニケーションを取ってくれるし、親しみやすい性格。“浦和に野心を持ってやってきた”という気持ちを感じられるし、一緒に目標を達成したいと思うし、僕ら選手としても一緒に仕事をしていて楽しい。厳しいトレーニングもあるが、求められていることがはっきりしているし、どんな試合ができるのかと、とてもわくわくする。選手たち一人ひとりが希望するポジションを聞いてくれたり、良い監督が来てくれたと思います」と、監督への信頼や期待感を口にしていた。
そんな槙野は、今シーズン、副キャプテンに就任。この日はキャプテンのMF阿部勇樹がベンチ外だったため、キャプテンマークを巻いて出場し、監督の誕生日を祝おうと、プレー面でも精神面でもチームを奮い立たせた。
槇野にとって、PKでの得点は、J1では広島時代の2010年9月11日のC大阪戦以来、11シーズンぶり。そして、実は浦和では初のPKでの得点だった。PKを決めたあと、槙野がリカルド監督のもとへと駆け寄った場面は、互いの信頼関係の厚さを象徴するかのようなシーンだった。