■「ロングボールを使おう、という共通認識があった」
―そして44分に林大地のゴールが決まったわけですが。
後藤「あのロングボールね。その前にもいくつかロングボールからのチャンスがあったけど。だから、後ろでくねくねと繋いでいるとプレッシャーにあうから、苦しい時はロングボールを使おうというのが共通意識としてあった」
大住「田中を中心に前の足元につけるプレーが多くて、それで相手が裏への意識が薄くなったところに、いきなり行って。そこに林も合わせたから。その辺のゲーム運びも上手かったよね」
―点を取った時間もよかったですね?
大住「そうだね。その前に、もう1個チャンスがあったんだけど決めきれなかった」
後藤「相馬が左サイドで抜けて、ヨシ、と思ったらコントロールミスしちゃった」
大住「そうそう。田中から林へ行ったやつね。訳のわかんないパスが、ふわっと。ああいう企画力というか、思いつき、発想の良さというのも田中には見えたし。本当にすごい選手になっちゃった」
後藤「だって、中村憲剛を見て育ったんだもん」
―後半に話を移しましょう。アルゼンチンは大きく変わったようですが?
大住「1人でかき回せる選手が2人も入ってきたんだから、なかなかボールを取れなくなったよね。けどそんな中でもチャンスを作っていた。右サイドを久保建英が突破して左に回して、相馬がポストに当てたやつとか」
後藤「ドリブルで中に運んで、相馬に渡して、ポストに当てたやつでしょ?」
大住「そうそう、あれは本当に決定的で、すごくきれいな攻撃だったよね」
後藤「右サイドバックの原のパスからだよね。原からタッチライン沿いに縦に出して、林がワンタッチで久保に出して」
大住「そう、内側に久保が走っていたんだよ。あの時の久保の走り込みのタイミングと、速さはすごかった」
後藤「あれが久保の一番の魅力だね。ボールを持ちながらパスコースを作って、シュートコースを作る」
大住「あそこでペナルティーエリアに入っているところで、ちゃんと顔が上がって落ち着いているのは得難い才能だよね」
後藤「伊東純也もあれぐらい落ち着いていればいいんだけど」
大住「ははは。それを言っちゃうと、久保が伊東ほどに足が速ければ、って言うのと一緒だよ」