フットボールの世界は、変わった。
一昔前であれば、得点を奪うのは基本的にストライカーの仕事だった。ミロスラフ・クローゼ、フェルナンド・トーレス、ルカ・トニ、ロナウド、ダビド・トレゼゲ...。いわゆる「9番」タイプの選手がワールドカップを制するチームにはいた。
だが時代は移り変わるものだ。現代フットボールにおいて、得点を奪うタスクはトップとウィングの選手に分配されている。
■「ロベリ」の破壊力
典型を挙げるのなら、バイエルン・ミュンヘンで活躍したフランク・リベリとアリエン・ロッベンだろう。彼らは「逆足アタッカー」として名を馳せた。右利きのリベリが左WGに、左利きのロッベンが右WGに配置され、カットインからのシュートでゴールを狙った。
「ロベリ」と称された2人はバイエルンの大きな武器だった。実際、ロッベン(バイエルンで公式戦309試合144得点101アシスト)、リベリ(425試合124得点182アシスト)と2人は素晴らしい成績を残している。
「バイエルンには、近年のヨーロッパにおける最高のウィンガーがいた。ロッベンはオランダのオイルと同じように、常にホットだった。リベリは(2007年夏に加入してから)常にアリアンツ・アレナの英雄だった」とはカール・ハインツ・ルンメニゲCEOの言葉である。
■ウィンガーとヴェルナーの例
そして現在、ロッベンとリベリの系譜を継ぐ選手たちがいる。
モハメド・サラー(リヴァプール)、ラヒーム・スターリング(マンチェスター・シティ)、セルジュ・ニャブリ(バイエルン・ミュンヘン)、ティモ・ヴェルナー(チェルシー)、ソン・フンミン(トッテナム)、ネイマール(パリ・サンジェルマン)...。いずれも得点力を備えるサイドアタッカーだ。
なかでも、注目したいのはティモ・ヴェルナー(チェルシー)である。
チェルシーは今夏、移籍金5500万ユーロ(約70億円)でヴェルナーを獲得した。だがヴェルナーは適応に苦しみ、プレミアリーグでは昨年11月7日の第8節シェフィールド戦以降14試合無得点が続いた。
状況が変化したのは、トーマス・トゥヘル監督の就任後だ。