■3月21日/J1第6節 鹿島アントラーズ―名古屋グランパス(カシマ)
決勝点の形は、稲垣祥にとって「大好物」な形だったのだという。
左CKのこぼれ球は、やや球足が速いかに思われた。だが、ボックス手前で稲垣はためらうことなく右足を振り抜き、強烈なシュートを突き刺したのだ。
この日の鹿島は、名古屋にとっても「大好物」なタイプだったかもしれない。左サイドバックの杉岡大暉は高い位置を取り続けるなど、攻撃的な姿勢を示してきた。隙をつくらず、素早く反撃。名古屋にとって、つづるべきシナリオははっきり見えていた。
鹿島のボール保持率は6割を超えたが、なかなかシュートまで至らなかった。ゴール前にコンパクトに敷いた名古屋の4バックが、まったく崩れないのだ。サイドバックの吉田豊が、何度ゴール前で相手のアタッカーの前に立ちふさがったことか。その手前では、稲垣と米本拓司がフィルターとなる。4日前の試合から2人しか変わらない先発の顔ぶれも、マッシモ・フィッカデンティ監督の手堅さを示していた。