日韓戦2021大住良之×後藤健生「深夜の激論」(3)「あの試合以外はあり得ない」ぬかるんだ国立競技場の「音」の画像
写真/サッカー批評編集部

3月25日に行われる日本対韓国の親善試合。日本にとって特別な思い入れのある韓国との一戦は、多くの注目と期待を集めている。サッカージャーナリストの大住良之氏と後藤健生氏の2人が、実に54年間にわたる日韓戦観戦の蓄積から、多彩な角度の議論を戦わせる!

■「1967年の日韓戦はぼくが中学3年生で、大住さんは高校1年生だった」

―お二人の日韓戦の最初の記憶は、どの試合ですか?

後藤「ぼくは1967年10月7日です」

大住「まあ、あの試合ですよね」

後藤「あの試合ですよ。日韓戦と言えば、あの試合以外はあり得ないよね。メキシコオリンピックの予選です」

―国立競技場でおこなわれた試合ですね?

後藤「そうです、54年前の試合ですね。ぼくが中学3年生で、大住さんは高校1年生だった時ですよね」

―大住さんもいらしてましたか?

大住「ぼくは行けなかったんですよ、その試合は。オリンピック予選で、フィリピン戦から始まってずっとやっていたわけですけど、その1週間前の土曜日に、日本対チャイニーズタイペイの試合があって、それを見に行ったんです。サッカー部の練習をさぼって見に行ったんですけど、メインスタンドで日の丸を振っていたら、なんとその姿がニュースに映っちゃった。それでバレて、キャプテンから怒られて。当然、7日の日韓戦も行くつもりだったんですけど、その日は行けないで、練習で死ぬほど走らされていました。終わってウチに辿り着いて、なんとかテレビでは見れましたけどね」

後藤「ははは。あれを見れなかったのは一生モノの後悔だね」

大住「そんな思い出があった試合ですね」

―後藤さんは、なぜこの試合を挙げたのですか?

後藤「3対3なんて、一番面白いスコアでしょ? ナイターで小雨が降っていて、グラウンドはグチャグチャ。そういう天気の時って、すごくゲームに集中するじゃないですか。カラッと晴れた暖かい午後4時とかだと、試合が面白くても眠くなっちゃう。そんな試合環境も含めてね。日本が前半2対0でリードして、後半に追いつかれて、また突き放したら追いつかれて。それで、最後の最後に韓国が放ったシュートが、クロスバーにバッカーンと当たって」

大住「あれは、なんていうかな。バッカーンというより、カーンっていう金属音だったよね。泥んこの試合だから、ボールも泥んこなわけですよ。そのボールがバーに当たったところに土の跡がずっと残っていたよね、国立競技場に行くと」

後藤「そうそう。なんで拭かなかったんだろうなって」

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