ついに幕を開けた2021シーズンのJ1リーグ。大住良之と後藤健生、2人のジャーナリストが今季の展望、各チームのみどころを徹底的に討論。開幕節の深夜にかわされた熱い議論の行方はーー。
■「川崎は去年より強くなった」
―まず、開幕戦の2月26日金曜日、川崎フロンターレ対横浜F・マリノスの一戦からうかがいます。
大住「シーズン終わっちゃいそうだよ、川崎の金曜日の試合で」
後藤「ははは。選挙速報でいったら、開票率1%で当選確実、みたいな試合だった」
大住「そういう感じだよね。まあ、シーズン通してだと、そうならないのがサッカーの面白いところなんだけど」
後藤「つづく土曜日の8試合を見ても、どこもどんぐりの背比べというか。シュートがポストにあたったり、キーパーのファインプレーひとつで勝負がひっくり返るような、そんな試合ばっかりでしたね」
大住「川崎が抜けすぎている」
後藤「去年と比べて、どこのチームが強くなったかって言ったら、川崎」
大住「だよね。川崎は20%くらい強くなった感じがするね」
―どのあたりが進化した部分なんでしょうか。
後藤「去年と一番違うのは、縦パスをズバッと良いところにつける、あの1発のパスかな」
大住「ゼロックススーパーカップでも、田中碧がつけた決勝点のパスとか。うん、田中碧はすごいね」
後藤「ジョアン・シミッチも守備はちょっと不安があるけど、ああいうパスは上手いよね」
大住「攻撃は良いよね。展開とか中盤のバランスがとるのが上手い。今季、川崎が一番変わったのは守備だと思うんだけど、ボールを刈り込むというか、その迫力が尋常じゃない」
後藤「レアンドロ・ダミアン、どうしたんだよって」
大住「彼は、サッカーが60分だと思っているんだよ」
後藤「そう、あれがあのチームの強さだよね。60分でも良いんだよね。5人交代ができるから」
大住「出し惜しみしないもんね」
後藤「日本のフォワードは守備をするって昔よく言われてたけど、それを超えちゃったよね」