■磐田が躓き、長崎は「一歩前から」スタート
幕開けは静かに、といったところだろう。
2021年シーズンのJ2開幕節が、2月27、28日に行なわれた。
開幕戦には独特の雰囲気が漂う。高揚感のそばには同じくらいのボリュームで緊張感があり、白星スタートを切りたい気持ちといきなり負けたくないとの思いがせめぎ合う。
驚きがあったとすれば、28日のタピック県総ひやごんスタジアムで行われたFC琉球対ジュビロ磐田戦だ。
ホームの琉球が開始1分に先制すると、そのまま押し切ったのだ。
シュート数は琉球の4本に対して、磐田が20本である。ボランチでフル出場した遠藤保仁は、「決めるべきところを決めていれば、という試合でした」と振り返った。彼自身、右足のシュートがバーに、直接FKが右ポストに嫌われている。
今シーズンは新任監督が少ない。監督が生み出す継続性を重視するチームが多いなかで、他チームとの違いを見せながら結果を出したのがV・ファーレン長崎、アルビレックス新潟、それに東京ヴェルディだ。
吉田孝行新監督が率いる長崎は、ツエーゲン金沢を2対1で退けた。先発メンバーのなかで新加入選手はCB新里亮ひとりで、システムも昨シーズンから馴染みのある4-2-3-1を採用している。開始4分に右CKのサインプレーから先制し、15分にも追加点をあげて2点リードで前半を折り返した。
後半は「我慢の時間が続いてしまった」という指揮官の言葉どおり、シュート数でも2対6と劣勢に立たされた。ただ、吉田監督はそれも織り込み済みである。
「開幕というのは難しいもので、自分もそういう経験をたくさんしてきた。戦術的な部分もコンディションの部分も、まだまだ上げていける」というのは、率直な思いに違いない。昨シーズンの主力がほぼそのまま残り、コーチから昇格した新監督が先頭に立つ長崎には、すでにしっかりとした土台がある。他チームよりも一歩前からスタートできているのだ。