■「ここでやらないと後がない」
「ここでやらないと後がない、という気持ちで臨んだ」と言う大久保は、レッドカードを誘発しただけでなく、完璧にディフェンダーを外してゴールを陥れてみせた。駆け引きからの一瞬の動き出しで勝負するためには良いパスが出てくるかどうかが大事だが、セレッソはその部分に関しては全く心配ない。どこからでも質の高いボールが出てくる。
使われる側に回り、極上のフィニッシャーとして役者の違いを見せた大久保は、セレッソに欠かせない唯一無二の戦力だった。
終わりを意識していることは事実でも、ただ終わりを迎えるわけではない。プロとして現役でいる以上、常に競争をして、結果を求め続ける。試合後、キャンプでは一度も主力組としてプレーしていなかった大久保の起用について質問されたクルピ監督は「競争の中で彼は実力を示していった」「競争の中で今日の先発を勝ち取った」と語った。
いつ出番が訪れてもベストなプレーを出せるように準備するその姿勢、一発で結果を出してみせるその気持ちの強さと結果の重要性、実績十分の大久保が実際にそれを示すことで、若い選手にどれだけの良い影響があるか。若手を起用するから不要、ではなく、必要だ。
13番でも8番でもなく20番を選んだ大久保は、セレッソに戻ってきただけではなく、クルピ・セレッソにピッタリの補強だった。
■試合結果
セレッソ大阪 2―0 柏レイソル
■得点
42分 大久保嘉人(セレッソ大阪)
85分 坂元達裕(セレッソ大阪)