■指揮官の「告白」

 阿部はこの試合の先制弾を決めたことはもちろん、ビルドアップでの重要なピースとしてボールをさばいてリズムを作り続けた。阿部とコンビを組んだ伊藤も、中盤の底で堂々たるプレーを見せた。

 ただ、リカルド・ロドリゲス監督が「もう少し相手にダメージをというか、攻撃の決定的な場面を作れればというのはありました」と話したように、ボール支配率ほどの決定機の回数を作ることができたわけではない。“優勢”のまま試合を進めることはできたものの、あくまでも“優勢”なだけ。“崩し切る”という工程には課題が残った。

 これについては指揮官も認めており、「押し込んだ状態での崩しのパターンやトレーニングの積み重ね」が解決策だと明かしている。実際、シーズンが始まったばかりでまだ戦術を落とし込んでいる最中であり、崩しのパターンが豊富であるわけがない。前チームの徳島で4年間かけて完成度を上げていったように、今後、熟成を進めていくと思われるが、浦和というビッククラブだけに、多くの人が注視している環境で、それを続けていく覚悟も必要となる。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5