■これこそがイタリア・サッカーの真髄

 とくに右サイドはアウトサイドのハキミとインサイドハーフのニコロ・バレッラにアンカーのマルセロ・ブロゾヴィッチが絡んでしっかりとキープ。そして、右で作ってから左に展開すると、イヴァン・ペリシッチ、クリスティアン・エリクセンがダイアゴナルな動きで直線的にゴールに迫ってくる。

 この、MF5人の規律の取れた連動性がこのチームの最大の強みであろう。

 さらに、守備に回ればツートップもしっかりとプレスバックする。その戦術的な規律と献身性。まさに、これぞイタリア・サッカーの真髄だ。そして、それを裏打ちするハードワークを完全に叩き込んだところがアントニオ・コンテ監督らしい。

 もちろん、ミランも抵抗はした。ダヴィデ・カラブリアとテオ・エルナンデスの両サイドが勇気をもってチャレンジし、ズラタン・イブラヒモヴィッチを生かして前半の30分頃から後半にかけて何度か決定機を作ったのだが、すべてインテルの守護神サミル・ハンダノヴィッチの好守に阻まれてしまった。

 そんな中で、インテルは57分と66分にカウンターから2点を追加して勝負を決めた。

 2点目は、右サイドをハキミが持ち込んで左に展開。エリクセン、ペリシッチとつないで、最後は折り返しをラウタロ・マルティネスが押し込んだもの。それまで押し込まれる展開が続いていたのに、カウンターに移った瞬間にあれだけの人数をかけた攻めを展開できるところがこのチームの強みなのだろう。

 そして、3点目はルカクの個人技。ハーフラインをわずかに越えたところで縦パスを受けると、そのままスピードとパワーを生かしたドリブルで持ち込んで、ゴール左下隅にコントロールされたシュートを突き刺した。

 昨年はユベントスとの競り合いの末に僅差で2位に終わったインテル。チームの完成度はかなり上がっているようだ。まだまだ、セリエAは10節以上を残してはいるものの、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグの負担もないだけに、インテルが大崩れをすることはあるまい。スクデット争いで大きく前進したことは間違いない。

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