ミラノ・ダービーが帰ってきた。ACミランとインテル、スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァを本拠地とする両クラブが、スクデットを懸けて相対したのは10年ぶりのこととなる。かつてセリエAは世界最強リーグと謳われて、日本でも絶大な人気を誇っていた。変わらない「サンシーロ」の壮麗な姿は、あの時代の復活を予言しているのだろうか。
■インテルの強力2トップを活かすメカニズム
2月21日に行われたイタリア・セリエAの第23節、ACミラン対インテルの一戦はインテルが3対0で完勝しスクデット獲得に向けて大きく一歩前進した。
開幕直後から首位を走っていたミランが、前節、下位に低迷するスペツィアに0対2で敗れる波乱があり、強豪ラツィオを破ったインテルが勝点1の差で首位に立って迎えた首位攻防戦だった。
ミラノに本拠地を置く両チームが優勝を懸けて対決するのは10年ぶりとのことで、イタリア全土が注目する一戦だったが、両チームともに慎重極まりない入り方をした。
ところが、試合は意外なことに開始5分で動き始めた。
インテルの右アウトサイドのアクラフ・ハキミがタッチライン沿いに縦パスを出すと、これを追ったロメル・ルカクがドリブルに入って、マークに付いたアレッシオ・ロマニョーリをスピードで抜き去った。グラウンダーのクロスはいったんは跳ね返されたものの、すぐに拾ったルカクが正確な浮き球のクロスを入れると、逆サイドから詰めていたラウタロ・マルティネスが頭で叩き込んだのだ。
インテルは、なんといってもルカクとラウタロ・マルティネスのツートップが武器ではある。だが、そのツートップを生かすための仕掛けが実によくできている。
ハーフラインよりやや自陣に入ったあたりで5人のMFが守備の網を広げ、高い位置を取った最終ラインと共同して相手ボールを絡めとる。そして、MFの間でうまくつないで前線にボールを送り込むタイミングを計るのだ。