■注目選手(2) MF:井上潮音東京ヴェルディから加入)

 ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督に「われわれにとってのメッシのような存在」と称されてから4年。ヴェルディの逸材がついにJ1の舞台で勝負をする。誤解のないようにしておくと、ロティーナ監督が用いたその喩えはチームにとって重要な選手という意味で、決してプレースタイルのことではない。

 井上は中盤でボールを多く触ることでチームを好転させるタイプの選手だ。昨年は永井秀樹監督の攻撃サッカーの中でドリブルを織り交ぜてサイドを崩す場面も増えた。そのプレーの特長はメッシではなくイニエスタに近い。

 ジュニアから10年以上ヴェルディ一筋の井上は、当然神戸のアカデミー出身者とは異なる考え方を持っている。異なる環境で育ってきた若手のホープ同士、互いに新しい視点を得ることになるだろう。若手とビッグネーム、とはまた違った好影響が生まれる。

 23歳ながらユースから上がってくる後輩を引っ張る立場だった。しかしまだ23歳、自身の更なる成長のためにはヴェルディを飛び出す必要があった。

 異なるアイデンティティを持つアカデミー出身の若手が揃い、プレーでも姿勢でも手本になる山口とイニエスタがいる神戸は、井上にとってこれ以上ない勉強の場だ。そういう環境を求めて自ら大海に飛び出した。ピッチで学ぶにあたり、ロティーナ監督にポジショナルプレーを教え込まれていることも活きるだろう。これまでの自分になかったものをどんどん吸収し、神戸の中盤に君臨してほしい。

井上潮音選手 撮影/原壮史
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