J2021年のJリーグがいよいよ幕を開ける。本稿では新たなシーズンに挑むJ1各チームの注目選手を2名ずつピックアップ。チームとしてのポイントも紹介する。ニュースターの誕生を期待したい。
◎ヴィッセル神戸
天皇杯とゼロックススーパーカップを制し、アジアナンバーワンクラブを目指してスタートした2020年だったが、リーグ戦で14位に沈んでしまった。なかなか結果が出せないチームに対し、外からやってきた選手である西大伍や山口蛍は普段の姿勢から改善していくことを気付かせようとしたが、リーグ戦の最後は6連敗。結果が出ないまま1年間を終えた。
しかし、間違いなく収穫もあった。ACL制覇は叶わなかったが、カタールでの集中開催では前川黛也、菊池流帆、山川哲史らが安定感を見せた。シーズンを通してベストメンバーがなかなか揃わなかったことで、成長が期待される選手たちにリーグ戦で出番が回ってきた。先に挙げた3人以外にも、安井拓也、佐々木大樹、小田裕太郎、郷家友太ら、これからの神戸を背負っていく選手たちが長時間プレーする機会を得ることができた。山川、安井、佐々木、小田はアカデミー出身者でもある。シーズン途中でチームを去ったトルステン・フィンク監督は、会見で安井の名を挙げる時に「このクラブが育てた選手」と付け加えることを忘れなかった。クラブが取り組んできた活動がトップチームに還元されつつある。
思い描いていた結果にはならなかったが、チームの底上げが進んだシーズンだった、と思える2021年になるだろうか。西が浦和に移籍し、延長の話も出ているがイニエスタは契約最終年を迎える。神戸というチームがこの先どう歩んでいくか、それを見つけるシーズンになる。