■注目選手(1) DF:瀬古歩夢
中盤に攻撃的な選手を配し、その創造性に任せることで若手の育成が進むクルピ監督のサッカーでは、攻撃が機能したとしても守備陣の負担は大きくなる。昨年急成長を遂げた瀬古がどこまでその力を見せつけてチームを支えるか、というのがシンプルな注目ポイントだが、それだけではない。
絶対的な要であったヨニッチの代わりを簡単に見つけることはできない。ヨニッチがいないだけでなく、木本恭生は名古屋グランパスに移籍した。ロティーナ監督の守り方を経験している主力センターバックは瀬古のみになった。チームは進藤亮佑、鳥海晃司、チアゴ、ダンクレーを獲得したが、誰がプレーするとしてもロティーナ監督の指導は受けていない。培ってきた堅実さに自由度を加える、という皮算用の土台の部分が揺らいでしまっている。
昨年までの堅実さを保つならば、瀬古が新加入の選手たちに細かい部分まで伝えて感覚を共有しなければならない。
ロティーナ監督の指導、そしてヨニッチの隣でプレーすることで大きく成長してきた瀬古がディフェンスリーダーとしてどこまで守備陣を引っ張れるのか。それが楽しみだ。
20歳にして伝える側に回らなければならないその経験は、瀬古個人を更にレベルアップさせるだろう。昨年とは全く異なる成長のチャンスが訪れている。