■守備をベースとした戦いが現実的だが…

 アタッカー陣にも外国籍選手が加わった。アルゼンチン生まれでイタリア国籍を持つクリスティアン・バトッキオである。イタリアU―21代表で背番号10を着けた29歳の獲得で、2列目の選択肢は充実した。

 ただ、バトッキオは得点を量産するタイプではない。ゴールゲットを担うのは昨季18得点の垣田裕暉、J2通算31得点の河田篤秀らが中心となる。J1で確固たる実績を残しているストライカーは見当たらないだけに、守備をベースとしたロースコアの攻防も視野に入る。

 その上で言えば、昨季のメンバーによるサッカーが、J1でどこまで通用するのは興味深い。ボランチで主将の岩尾憲がハンドルを握り、2列目とサイドバックが迷わずに仕掛けていくサッカーは、流動的でモダンな香りを漂わせる。ロドリゲス前監督と選手たちが作り上げたサッカーには、「自分たちで主導権を握る」という芯が通っているのだ。

 新型コロナウイルス感染症に関する新規入国制限で、ポヤトス新監督と2人の新外国籍選手は開幕に間に合いそうもない。J1にチャレンジするチームはいきなり困難に直面しているが、キャプテンの岩尾は14日に行なわれた新体制発表会で、「ものすごく難しく厳しいシーズンになると思いますが、最後までファイティングポーズを取り続けて、戦い続ける」と、力みのない表情で語った。

 自分たちの強みをアップグレードさせていけば、J1定着は不可能なミッションではない。

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