■J2最有望株のボランチ藤田が、東京Vから徳島へ
J2からJ1への“個人昇格”を取り上げる第2回は、守備のポジションから4選手をピックアップする。まだ足を踏み入れていないJ1という舞台を目ざして、彼らは新天地で存在感を見せつけていく。
1人目は、藤田譲瑠チマ(東京ヴェルディ→徳島ヴォルティス)だ。
東京Vのユースからトップチームへ昇格した昨季は、開幕戦でいきなり先発フル出場を果たした。当初はボール奪取能力に優れたボランチとの印象だったが、試合を重ねるごとにプレーの幅を拡げていく。
DFラインと2列目をつなぐボールの中継点から、より積極的なアクションとして崩しのパスを供給するようになった。前線へ積極的に飛び出していくようにもなり、32節の徳島戦では自らのパスカットから相手ゴール前へランニングし、右足でゴールネットを揺らした。
最終的にチーム最多タイの41試合出場で3得点を記録した藤田は、18歳にして東京Vに欠かせない選手へと成長していった。J2に新人王のタイトルがあれば、間違いなく選ばれていただろう。中盤のセントラルポジションで存在感を発揮していく姿には、リオ五輪代表から日本代表へステップアップしていった当時の井手口陽介に重なるところがあった。
オフにはJ1の複数クラブからオファーが届いたと聞くが、J1昇格の徳島を選んだ。
藤田が定位置とするボランチのポジションには、キャプテンで大黒柱の岩尾憲、レフティーで展開力のある小西雄大らがいるが、攻守両面で影響力を発揮する藤田なら、コンスタントに試合に絡んでいくことができるだろう。2月16日に19歳となるボランチは、無限の可能性を感じさせる。