【ラ・リーガ バルセロナvsアスレティック・ビルバオ 2021年1月31日(日本時間29:00キックオフ)】
「リオネル・メッシの活躍でバルセロナがスーペルコパのリベンジに成功した」
こう書くと(ああ、結局メッシか)と思う方が多いはずだが、この試合のメッシは、いつもと異なるプレーぶりだった。
「リオネル・メッシが“攻守に”躍動し、バルセロナがリベンジに成功した」
これで(おや?)となる方もいるだろう。
2週間前のビルバオとのスーペルコパ決勝戦で退場となったメッシだったが、これは、度重なるダーティープレーに我慢の限界を超えてのものだった。バルセロナでのキャリアで初の退場となったメッシだが、タイトルを逃したことで、ここぞとばかりに移籍騒動が再燃。契約に関するリークまで飛び出し、4年間で700億円もの金額がメッシに支払われていることが明らかになった。厳しい状況にあるバルセロナの財政を、メッシが更に悪化させているかのように言われる始末だ。
しかし、だからといってプレーで周囲を黙らせる、あるいは価値を証明する、というつもりはメッシにはない。この試合に対する高いモチベーションは、2週間前に決勝で負けた相手、というだけで十分なのだ。
アンドレス・イニエスタがヴィッセル神戸の誰よりも悔しがったり、怪我を抱えていながら強行出場したりすることを不思議に思う人もいるだろう。本当のトップ選手は、誰よりも負けず嫌いだ。
メッシも、イニエスタも、もちろんクリスティアーノ・ロナウドも、究極の負けず嫌いだからこそ、ただのスターではなく、世界中の誰もが認める稀代のスーパースターになった。日本のスポーツ界で挙げるとしたら、フィギュアスケートの羽生結弦がそうだ。周囲がどれだけ騒ごうと、自分にとって大切なのは目の前の試合に勝つこと、前回悔しい思いをさせられた相手を今回こそ上回ること、それだけだ。
そしてこの試合、メッシは走った。