■紀元前時代からのありふれた道具

 安心してほしい。すね当てが「偶発的に」脱げてしまった場合には、速やかに着用しなければならないが、「それをする前に競技者がボールをプレーする、または、得点した場合、得点を認める」と、ルールの第4条に書かれている。ただ、自分で外してしまった場合には、「偶発的」ではないから、得点は認められない。

 1990年のルール改正前にも、大会規定によってすね当てを義務付けているものがあった。FIFAはその主催大会で1987年以後すね当てを必須とし、UEFA(欧州サッカー連盟)も1988年から欧州チャンピオンズカップなどですね当てを義務付けた。国内リーグレベルでは、ベルギー、スウェーデン、チェコスロバキアなどですでに義務化されていた。

 ルール上の「義務化」が1990年といっても、すね当ての歴史は相当古い。

 元来は「よろい」や「かぶと」とともに、戦士たちの防具のひとつだった。「すね当て」の記述は、すでに『旧約聖書』のなかにある。イスラエルの羊飼い少年ダビデに石をぶつけられて倒された巨人ゴリアテは、青銅製のすね当てをしていたと記されている。ギリシャや共和制ローマの時代、すなわち紀元前には、すね当てはごくありふれた防具だったのだ。

PHOTO GALLERY 選手が変われば足元も変わる
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