■1990年のルール改正

 すね当てについては、「ストッキング」の話のときに少し書いた。だがもう少し書いておこうと思う。

 既述のように、ルールですね当ての着用が義務付けられたのは1990年のことである。

 1980年代に世界を恐怖に陥れたエイズ(後天性免疫不全症候群)。粘膜や血液を通じて感染することがわかり、試合中に出血した選手は完全に止血するまではプレーに戻れないことになった。FIFAの医事委員会は、それとともに、サッカーで最も負傷が多いすねを守るためにすね当てを義務化すべきとの意見を、1988年12月1日の理事会に出した。翌年のルール改正には間に合わなかったが、1990年のルール改正で正式に義務付けられたのである。

 ちなみに、今日のルールでは、第4条「競技者の用具」に選手が着用を義務付けられた基本的な用具として、シャツ、ショーツ、ソックス、すね当て、靴の5つが挙げられているが、靴の義務化がいつだったか、ご存じだろうか。第2次世界大戦後初のワールドカップ、1950年ブラジル大会に出場予定だったインドが「靴を履かなければ出場させない」という大会ルールに反発して棄権したことを思い出し、それ以前であるはずだと思った人は、相当ルールに詳しい。しかし事実は、それから40年近く後の「1989年」、すね当て義務化のわずか1年前なのである。

PHOTO GALLERY 選手が変われば足元も変わる
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