■29歳のマーケティング部部長が進める改革
「『短期的』には、今は(ウイルスの感染拡大を予防するため)入場制限がかかっている状態なので、会場に来られないみなさんの熱量をしっかり保つこと。『中期的』には、みなさんと色々な接点を作っていくことで、新規にファンになってくださる方が増えていただたらいいなと考えています」(藤掛氏=以下同)
クラブのYouTubeチャンネルの目標を藤掛直人氏はそう語る。若干29歳にして、事業戦略マーケティング部の部長を務める彼は、こうも感じている。
「YouTubeやTIKTOKでは、通常の交通広告(駅や公共交通機関の車内に貼るポスター等)などとは違うお客さんにリーチできるかなと思って、取り組んでいます」
2019年春、藤掛氏がまだ27歳だったときに、YouTube改革プロジェクトの中心として白羽の矢が立った。
Bリーグのシーズンは、ヨーロッパサッカーと同じ秋春制だ。新シーズンに向けたチームの活動が本格化する8月から、YouTubeチャンネルのリニューアルをすべく、準備が始まった。
社長から特命を受けた主な理由は2つあった。
1、 藤掛氏の年齢が若かったから: YouTubeのターゲットとなる若い世代と近い感覚を持つ、適任者として声がかかった。
2、 藤掛がスポーツ界の常識に染まって“いなかった”から: 彼は前年の途中まで、川崎の運営母体であるDeNAの本社に勤務しており、スポーツとは直接関係のない仕事で、成果をあげていた。
じっくりと準備した上で、チャンネルのリニューアルを告げた動画は2019年8月3日、新しいシーズンへ本格的に始動するタイミングで公開された。
すると、それまで1本で平均6~7000回、多くてもせいぜい3万再生程度だったものが一気に跳ね上がった(現在は一定時間がたてば20万再生程度をコンスタントに稼ぐ)。
これが起爆剤となった。
チャンネル登録者は、リニューアル前は4000人も満たなかったが、そこから1か月足らずで1万人を突破。2020年に入ると4万人を越え、以降も着実に伸びてきている。現在は人数を非公開の設定にしているが6万人程度になっているという。