■「やっぱりお客さんがいないとつまらないよね」
―スタジアムに行かなくても楽しめる方法というと?
後藤「映像技術とかを駆使してリモートで応援するとか、それはもうやっていたじゃないですか。あれをもっとしっかりやって、クラブの収入につながるような方法を考えないとね。
もしリモートで試合を観戦する方法が確立されたとしたら、本当に面白ければ、日本国内に限らずに世界中の人にも楽しんでもらえるし。逆にJリーグだけ見なくたって、もしプレミアムリーグとかの観戦が楽しめてしまったら、みんなそっちに行っちゃうだろうし」
大住「なるほど。後藤さんは新しい方法も、と言ったけど、やっぱりスタジアムでみんなで観る楽しさに勝るものはないし、元に戻ることを期待したいけどね。そうならないとサッカーは少しずつ死んでいくんじゃないの。テレビ放映権で持っているようなヨーロッパのリーグなんかも、このまま何年間も続けていたら少しずつ衰退していくよね」
後藤「ヨーロッパのほうが放映権に依存する割合が大きいだけにね。選手の給与など今の天文学的な数字は絶対に維持できないだろうね」
大住「そうだよね。放映権を払うほうも当然経営が苦しくなるはずだから」
後藤「だけど、やっぱりテレビで見ても、お客さんの入っていない試合を見るのはつまらないよね」
大住「うん。絵が描いてあったり、歓声を流すのは最悪な感じ」
後藤「だからあれをもっとうまくやる。本当にお客さんがいるようにさ。今のはあまりにも、チャチだから」
大住「うーん……」
―2年目はそうならないことを願いますが。
後藤「だからコロナが完全に克服されていても、元に戻るかと言えば、それは難しいんじゃないかって。人が集まるということを前ほどしなくなるでしょ。都市に集中して住むこともなくなるじゃない?リモートで仕事ができるとわかった人は、どんどん地方都市に行ってしまう。
すると大都市に大きなスタジアムがあって、そこに5万人だかが集まるという文化じゃなくなるかもしれない。そしたら、地方の都市にもいっぱいチームがあって、2万人くらい集まれば、それでいいのかもしれないし。とにかく前ほど人が集まるという事を、みんなはしなくなる。あるいは、逆にそういう社会だからこそ、週に一度だけは集まって、そこに楽しみを見出すようなことになるかもしれない」
大住「後藤さんが言うように、みんながすぐには集まれないかもしれない。たとえばJリーグは19年に2万人を超えたんだよね。試合平均ではじめて。それで、さあこれからという時期だったんだけど。そこまで戻るには、まともにいっても数年はかかるかもしれないね」