大住良之×後藤健生「歳末の激論」(3)コロナ対策で見えた「Jの頼もしさ」の画像
Jリーグの村井満チェアマン 写真/サッカー批評編集部

なにもかもが未曾有の事態だった2020年。Jでは史上空前の勢いで川崎フロンターレが駆け抜け、ACLに出場した3チームは苦い結末を迎えた。ピッチ上ではさまざまな変化があったが、変わらないこともあった。新たな星が日々生まれ、偉大なディエゴは逝ってしまった。サッカージャーナリストの大住良之、後藤健生の2人が、あらためて激動の1年を振り返る。

―コロナ禍でのJリーグ、どうなることかと思いましたが、見事に306試合を完走しました。これについて大住さんはいかがですか?

大住「306試合とおっしゃいましたが、J2とJ3を合わせれば1074試合。ルヴァンカップを除いても、リーグ戦だけでその試合数です。それをこの期間でやりきったというのは、すごいなと思います。感染したチームが試合ができなかった時期もあって、特にJ1ではACLによる日程のガタガタ感がすごかったんだけど。それでも全試合をやりぬいたというのは、それだけでも大きな勝利と言えるのではないかと思います」

―後藤さんはいかがでしょう?

後藤「最初は無観客ではじまったのが、徐々にお客さんが増えて、昨日(12月19日)の試合だと、1万人を超えた試合が5試合くらいあったんじゃないかな。チームで感染者が出て延期になった試合もいくつかあったけど、特に大きなクラスターが出たこともなくて。よくまあ、無事に乗り切ったもんだと。本当にみんな頑張りましたよね。

 選手たちも、コンディション的にどうなのかなと思っていたけど、真夏とかに大ケガとかが増えたら困るなとか心配もしていたんだけど、そういうのもなく。本当に頑張りました」

大住「観客にも、試合を見に来て感染したという例が、ひとりも報告されていなかったこともすごいことだと思います。Jリーグがプロトコルとか、今まであまり使われてこなかった言葉を使っていたけど。そういうルールを作って、みんなでやりぬいたというのは、本当に大したもんだと感心しました」

後藤「本当に、こういう状態になってすぐにプロ野球と合同の会議を立ち上げるとか、すぐに動き出して、きちっとやり切ったというのは、Jリーグというのはここまでちゃんとできる組織なんだというのは、ちょっとびっくりでしたよね」

大住「本当に驚いたよね」

後藤「見直しちゃった。村井(満)チェアマンのことも」

大住「ハハハ。記者会見を定期的に開いていたけど、それを聞いていて、すごく組織として機能をしている感じがして、頼もしいリーグだなと感じましたね」

後藤「はっきり言って、日本政府もこれくらいやってくれたらねってね」

大住「ハハハ、本当だよね」

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