畑大雅

 湘南のサッカーは、ウイングバックがどんどん前線に顔を出せている時は調子が良い。しかし、それがなかなか難しい。相手にボールを持たれることが多く、マイボール時には縦に急ぎたいが、もったいないミスでその機会を失ってはますます苦しくなる。思い切りの良さだけでなく、攻撃を完了するところまでやり遂げなければならないからだ。

体力面でも消耗が大きい。守備では自陣の深い位置までしっかりと体を張り、攻撃では敵陣の深い位置まで駆け上がる。それを1試合の中でひっきりなしに繰り返さなければならない。

畑がリーグ戦で初スタメンを記録したのは10月18日の柏戦だった。オルンガ江坂任といった強力アタッカー陣やカウンターの肝である北爪健吾をケアしつつ、マイボールになれば前を向いてどんどん攻め上がった。センターラインあたりで作り直すことになるのではなく、一気に前線まで上がってクロスを上げることができていた。試合を通して攻守共に最後までやりきるプレーを見せ続け、一気にスタメンの座を手に入れた。

横浜FC戦では瀬古樹、マリノス戦ではエリキ、神戸戦では小川慶治朗をそれぞれ抑えた。各チームの元気印を抑え、相手を勢いづかせないことで、チーム全体が自分たちの良さを出しやすくなっている。

 攻守に躍動し続ける田中聡との左サイドは、早くも湘南の生命線になっている。

後編に続く

 

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