■石原、舘、田中の3バックが功を奏した
この3バックは、それらの悪循環を解消した。
中央の石原がドリブルを使ってボールをキープすることができるため、他の選手が動き直す時間が生まれる。そうすると安易なパスミスは起きない。
舘は守備的な右サイドハーフかのように高い位置で味方のサポートをこなし、岡本拓也や齊藤未月がより前でその力を発揮できるようになった。
そして田中だ。彼なくして、この好調はあり得なかっただろう。
田中は抜群の落ち着きを見せている。2002年生まれで今年デビューした選手とは思えない。ビルドアップの場面でプレッシャーをかけられてもボールを失うことはない。軽くいなしてみせ、意外なボールも供給できる。同じく2002年生まれで今年デビューした畑大雅と形成する左サイドは、早くも攻守でベルマーレの軸だ。どちらも前を向いてプレーし、簡単にボールを失わないので、他の選手が存分に動ける。
守備でも田中の存在は大きい。インターセプトだけでなく、1vs1でエリキや仲川輝人を制し、奪ったボールを繋ぐところまで完遂する。
ベルマーレで高校生のうちにデビュー、複数ポジションをこなし、本来のポジションではないセンターバックとしてビルドアップとデュエルのどちらでも抜群の存在感、とくればどうしても遠藤航と重ねてしまうが、同じ年齢で比べれば遠藤よりも良い。
ここからどう成長していくか、純粋に楽しみだ。