■誕生日にJリーグデビュー、そして勝利

 2位の福岡は、水戸ホーリーホックを1対0で下した。開始5分に増山朝陽が決めた得点を守り切り、1対0でアウェイゲームを制した。「ウノゼロ」は今シーズン11度目を数える。

 福岡は新加入選手が勝利に貢献した。スペイン人CBのカルロス・グティエレスが、今シーズン初出場を果たしたのだ。

 主にスペイン2部のクラブで実績を積んできたグティエレスは、シーズン開幕前の1月に右ヒザ前十字靭帯損傷の大ケガを負った。彼が不在の間にブラジル人のドウグラス・グローリ、東京五輪世代の上島拓巳がJ2屈指のコンビとして最終ラインを支え、福岡はJ1昇格戦線に浮上していった。

 グティエレスは前節の磐田戦で、今シーズン初めてベンチ入りした。グローリを出場停止で欠くチームは0対1の苦杯をなめ、不敗記録が「15」でストップする。長谷部茂利監督はグローリの出場停止が続く水戸戦に、29歳のスペイン人CBを起用した。

 前所属チームのヌマンシアで、最後にプレーしたのは昨年12月である。およそ11か月ぶりの実戦だ。ゲーム勘もゲーム体力も十分ではないはずだが、グティエレスは身体を張ったプレーで存在感を示した。

「自分にとってはすごく難しいシーズンになっているけれど、それでもこうしてピッチに立つことができて、チームの勝利に貢献できたことは素直にうれしい。本当に素晴らしい試合だったと思います」

 20年11月4日は、グティエレスにとって忘れられない一日となっただろう。Jリーグデビューを飾っただけでなく、29歳の誕生日当日だったのだ。

「チームメイトには本当に感謝の言葉しかないです。たくさん助けてもらって、試合後のロッカールームではお祝いもしてもらって、勝利することもできて、最高のデビュー戦でした」

 次節はグローリが出場停止から戻ってくる。グローリが先発に復帰するのか、それともグティエレスがスタメンに定着していくのか。いずれにせよ、福岡の最終ラインは盤石だ。

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