■磐田の攻撃にはテンポに鋭さが加わってきたが…
磐田は鈴木政一監督の就任後で2度目、遠藤保仁の加入後では初となる黒星を喫した。
試合内容は悪くなかった。
フベロ前監督の指揮下では、DF伊藤洋輝の展開力、MF大森晃太郎とFWルキアンの打開力が頼みだった。ボールを動かすことはできるものの、連動性に乏しかった。
しかし、遠藤の加入で選手同士のつながりが深まった。元日本代表MFがダブルボランチの一角を担うことで、ボールの動かしかたに余ポが良くなった。徳島戦ではテンポに鋭さが加わり、相手の守備網にタテパスを何度も刺し込んだ。裕が生まれ、テン3試合ぶりに採用した4バックにも、ギクシャクとしたところはなかった。
遠藤のデビュー戦からわずか1か月弱で、よくぞここまで立て直してきたと言っていい。J2ではトップクラスのタレントが、ようやくグループとして、チームとして、機能するようになってきた。
しかし、失点がリーグ最少2位の徳島のディフェンスを、流れのなかからこじ開けることはできなかった。伊藤の得点は右CKからのヘディングシュートで、オープンプレーではなかなかシュートまで持ち込めず、打つことができても強引なフィニッシュだった。
遠征メンバーに加わっていた小川航基がコンディション不良でベンチにも入れなかったのは、鈴木監督のゲームプランを狂わせたに違いない。しかし、10月から急ピッチで修正を重ねるチームが、昇格レースの中心にいる徳島を下すのは無理があったのだろう。
首位の徳島だけでなく2位の福岡も勝利し、J1昇格圏の両チームは勝点を「62」とした。磐田は「44」のままである。磐田は残り11試合に全勝しても、勝点は「77」だ。その一方で、徳島と福岡は5勝6敗でも「77」に届く。磐田のJ1昇格は、もはや絶望的になったと言わざるを得ない。